第11章 露呈
勢いのついた水が頭を濡らす。
暗闇にいた意識が現実へと戻り、同時に震えるような寒さが体を刺す。
「起きろ!いい加減飯食えッ」
掴みあげられた髪の毛。引っ張られ頭皮が痛い。
眠りから覚めたばかりだというのに朦朧とする意識は焦点が定まらす頭と同じく視界もゆらゆらと揺れた。
「今日は検診だ」
床に落とされて言われたのは検診。
そりゃそうだろう。ここ数日飲まず食わずなうえ凍えそうな地下牢で地べたに座り生活し、尋問と称して手酷く扱われた。
生傷の耐えない体は冷えきったせいもあって不健康な色をしていた。
「点滴しておきましょう。あばれないようにこちらの薬も…」
診察した軍医が看護士に指示を出す。
尋問の際に殺さなければなにやっても良いと笑う海兵がいたから知ったが、生きたまま引き渡せと世界政府から指示があったらしい。
そりゃ死んでしまったら古代兵器うんぬんの話は無くなりまた転生する私を探さねばならなくなる。
このままだと死にかねないと判断した軍医からあらゆる投薬により生かそうと注射器を手に取った。
「武装色ですか…抵抗されない方がよろしいかと思いますが」
腕に刺そうとした針が折れ、音を立てて床に転がる。
溜め息をついた軍医は看護士に何かを頼むと、看護士はゴトゴトと機械を持ってきてマスクを当てられた。
「少し眠っていてもらいますね」
軽い麻酔を吸入させられ意識が落ちそうになる。
「や…め……」
無理やり入れられた薬には勝てずに視界が暗転した。