第11章 露呈
「さぁ得物をこちらに投げて、ゆっくり手を上げろ」
ニタニタと楽しくてしかたがないという顔で命令するベイヤード。
ジル達に無闇に抵抗するなよと伝え、言われた通り得物を投げ捨て、手を頭の後ろで組んだ。
「はははっ良い気味だッ!」
「…っ」
近づいたベイヤードに腹を蹴られよろける。
うつむいた時に後ろ襟を捕まれ、そのまま引き摺るかのように連行される。
「お前を俺が捕らえるなんてツイてる」
陸に上がり銃を向けられたまま建物に入る。
複雑な道を進み階段を何回も降りていけば空気は冷たくなり、向かう先が地下牢だとわかった。
「おら!大人しく入ってろ」
投げるように押し込められたのはやはり地下牢。
あまり広くないそこは投げられればすぐに奥の壁にぶつかり、強かに頭を打って呻いた。
同時に入ってきた海兵に両手首と両足に手錠を嵌められる。
牢の外、目の前に椅子を持ってきて腰を下ろしたベイヤードに、クロエは覇気ものせて睨み付けた。
「胸くそ悪ぃガキが…」
ベイヤードの背後の海兵達が倒れていく。
加減の忘れたそれになす術もなく意識を刈り取られたのだ。
「だが…これは覇王色の覇気とは違うな」
なにを隠し持ってる、と言われるが今まで使っていたこの威圧のようなものは覇気ではなかったのか。
覇王色を持つとは思っていなかったがなぜだか威圧や威嚇によって相手を怯ませたり気絶させたりできたのだ。
変質したかと考えていたがそもそもが違うという。
ムカつくやつだがベイヤードも中将。覇気の習得は勿論のことクロエより長く生きてる彼は知識も豊富。特に覇気に関しては詳しかったはずだ。
「気持ち悪ぃ力使いやがって…おい、被せるもの持ってこい」
倒れた音に駆けつけた新たな海兵に指示を出し、届けられた袋状の布を頭から被せられた。
光が少しわかる程度になったが、ムカつくベイヤードの顔を見なくてすむのは良しとしよう。
視界ならば見聞色でどうとでもなる。
「私はなぜ捕らえられた。理由を聞かせろ」
まだ気配のするベイヤードに問う。
「…ポーネグリフの研究をしたんだろ。それが露呈して世界政府から捕らえろと要請が入ったんだよ。やっちゃならねぇことやってんだ、理由くらいわかるだろうが」
当たり前だろ、と鼻で笑われるように言われるが、研究なんてやっていない。