第9章 シャボンディ諸島
島に降り立てば既に戦場と化した1番GR付近。
あちこちで煙と光線が飛び交っている。
遠目から会場周辺を観察し、メインの3船長が散っていくのが見える。
何気なく視線をローに向ければ、天竜人が連れていただろう大きな奴隷になにかしている。
(鎖外せるとかホント便利な能力…)
連れていくのか行動を共にする。
あんなでかい人船に乗るのか。
『クロエ、どうだ!?』
戦桃丸からの連絡で様子を伺っていたため、今見ている事を伝えれば、他でも連絡を取っているのかこちらを待たせながら遠くで話し声が聞こえる。
望遠鏡であちこち見ながら待っていれば、再び戦桃丸の声が電伝虫から響いた。
『オジキが麦わらの方にいったから、その他を頼む!』
「え、その他って二人を私に押し付ける気?」
『パシフィスタいるじゃねぇか』
「私に一台だけで、そっちは何台引き連れてるのよ…」
ガヤガヤしている内に通話を切られてしまった。
仕方がないからユースタス・キッドの行方を追う。
ロー達はこっち片付いてから追うのでもいいよね。
「パシフィスタ、ユースタスを追え」
指示を飛ばせば瞬時に逃げた方へと向かっていった。
連れてきた部下達とともに自分もユースタスのもとへと向かった。
「なんでこの島に七武海がッ……!」
ユースタスはレーザーで撃ち抜かれた足を見て舌打ちした。
パシフィスタとは違う木の根の丘に到着したクロエは、部下に対能力者用の陣形と弾を装備させる。
「キッドの頭!あれ!」
丘にいたクロエに気付いた仲間が声をあげる。
戦場が一気にざわついた。
「ついてねえな…闘神クロエがいたのか」
キッドがこちらを見て呟く。
変な通り名だが、戦歴と戦い方を見てそう言われているようだ。恥ずかしいったらありゃしない。
「討ち取れ!」
声と共にユースタスを指せば連れてきた海兵達が丘を駆け降りる。
海賊達と海兵が交戦し始め、パシフィスタもユースタスを狙って動く。
未だ傍観に徹しているクロエは、海賊達の背後から新たな集団が近付いているのを捉えた。
(あーあ…せっかくユースタス狙って逃げる時間作ったのに)
熊に皆お揃いのツナギとくれば彼らが誰かは一目瞭然。
「トラファルガー・ロー」
パシフィスタの音声にロー達が止まった。