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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第9章 シャボンディ諸島


荒くれどもを相手にしてきたクロエは元々そこまで細身ではない。
夜の女のような四肢は細く出るとこだけ不自然に出るようなことはなく、得物を振り回すためやや筋肉質。だがそれでいて女性らしい柔らかさもある体。
実に均衡の取れた美しい姿だった。

だが己の下で息も絶え絶えに喘ぐクロエは必要最低限の戦うための筋肉を残して薄く、骨張っているようにも思えてしまう。

同僚程度の付き合いでは、まじまじと他人の体など観察しないから変化には気付かれないかもしれない。
それをいいことに、改善しないまま不摂生な生活を送っていたのだろう。

(俺のもとにいればこんな姿には…)

たらればを言っても仕方ないが、弱ってる愛しい人を側でサポートしてやることができないのは歯痒かった。
せめて、彼女の希望を叶えてやろうと抱く腕の力を強めた。

「ろぉ…一度、お風呂」
「わかった。湯張ってくるから待ってろ」

汗だくで横たわるクロエに水を渡して浴室へと向かう。
お湯を張っている間にバスローブやら準備して迎えに行こうと浴室を出れば、シーツで体を覆ったクロエと鉢合わせた。

「びっくりした…そろそろかと思ってさ」

一緒に入ろうねと手を引かれて再び中へと戻る。

「髪の毛纏めて?」
「自分でできるだろ」
「ローの方が上手じゃん」

何度かクロエの髪をお団子に纏め上げたことがあったが、今のクロエは面倒だからおだててやってもらおうと言う魂胆が見えた。
すでに鏡の前にあったブラシとゴムをこちらに差し出している。

「…はあ」

自分だって面倒だと思ってるくせに、なんだかんだ面倒を見てやってしまうのは元来の面倒見の良い性格からか、彼女に対しては激甘だからか。

(両方か…)

再び心の中でため息を付いてブラシでクロエの髪を鋤き始めた。
細く柔らかい髪の毛は、いつ触っても幼い子どものようだと思う。色素もそこまで濃くないため太陽の光に当たればきらきらと黄金色に輝いて見えた。

サイドに寄せて低い位置で纏め上げる。
我ながら手先は器用だなと内心感心していれば、髪を上げたことで見える細いうなじ。
先程付けた跡がちらばっていて、気付けば新たな跡を付けようと口付けていた。

「んっ」

声に反応して顔を上げれば鏡越しにクロエと目が合った。




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