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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第1章 今の二人


着いた島は常夏。
ここ最近寄港した島は夏島が多く、暑そうなもふもふの毛を持つベポが気の毒になってきていた。
それでもこの島に着いたベポは大層ご機嫌で、事情を知らぬクルーは終に気が狂ったかと同情の視線を送った。

「キャプテン、俺らは偵察が戻り次第買い出しに行ってきます」
「こっちは船の修繕と見張りっす」

役割分担を終え、各々が動き出す。
基本的に船のメンテが終わったら自由行動だ。
滞在期間の行動をクルーはペンギンに報告し、彼が把握していればそれでよかった。

「キャプテンは一足先に行かれます?」
「あぁ。夜に見張りと交代か?」
「えぇ。買い出しに行くベポが戻れば自由になります」

昨日にクロエから聞いた場所をペンギンにも伝え、夜にでも合流することになった。

「必要な物があれば連絡を」

それでは、と他のクルーに呼ばれたペンギンと別れ、鬼哭を担いで船を降りた。

前の島で手にいれていたマップを広げ、クロエの言っていた超高級水上コテージとやらを探す。
マップの端の方に一般のエリアとは違う高級志向の宿が連なる場所があるようだ。
少し離れているが、目の前の美味しそうな匂いが立ち込める大通りをみて買いながら向かうか、と賑やかな通りに足を向けた。











賑やかだった大通りからは一転、品の良い佇まいの宿がそれぞれ広大な敷地を持ち、整然と並んでいる。

「ようこそお越しくださいました。どちらにご用でしょうか」

エリアの入り口に当たるのだろうか、コンシェルジュのような男がローに一礼して話しかけてきた。
冷やかしで入ることはできないのだろう。
ここで先日の電話でクロエが伝えてきた暗号に納得した。

「クロエ、9173」
「畏まりました。こちらへどうぞ」

なんのことだと思ったが、宿泊の部屋に客を通すときの暗号なんだろう。
コンシェルジュの男は変な乗り物が並んでいる通路にローを通すと、その一つに乗る運転手らしき男に指示を出した。
その雲を模しているのか、ふよふよと漂う乗り物が一つローの前に停まる。

「ご乗車くださいませ。お部屋までご案内いたします」

扉を開けて促されるまま乗り込む。ゴルフカートの豪華版だな、と乗ってみて思った。

振動も全くなく、スイスイ進むこの乗り物は至極快適だった。
一つほしいなんて思ってしまう程には。


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