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待つ宵 揺らめく水面

第2章 花笑み 琲世




「…今日はやっぱり泊まらない」
「なんで?」


琲世がしゃがんで私の視線に合わせてくる。
お兄さんぶっちゃって。


「琲世のせい」
「…何か怒らせるようなことした?」


ちょっと小首を傾げるあざとさ。
私だって女の子だよ。
女なんだって分からせてやりたい。


「…琲世は、キスってしたことあるの?」


私がそう聞くと、琲世はボンっとあからさまに赤くなった。


「…無いと、思うけど…なんで?」


「したいと思わないの?小説とかでもそういうシーン出て来るよね?」


近くにある琲世の頬をするりと撫でてみる。

琲世はぴくりと肌を震わせた。

琲世ってたまにすごい色気がある…。少し動揺したけど余裕ある演技をここはする。


「…どういう感じって、知りたくないの?」


琲世の唇をゆっくり指でなぞってみる。


ずっと琲世の唇を見たままなぞった指をそのまま自分の唇へ近づけ、ちゅっとリップ音をさせた。


そして、琲世をちらっと見ると琲世の瞳がちょっとだけ紅く揺らめいた。

え?

ドサっと音がしたと思ったら、琲世に押し倒されていて…左手は琲世の右手によって封じられていた。

琲世の顔はすぐそこ。


「…、琲世ッ?」


んっッ…、んちゅ…ちゅっッ

名前を呼べば琲世の唇が私の唇に重ねられていて、少し水音を含むリップ音がする。


柔らかい唇と、何度も角度を変えてのキス…、琲世の男の顔にドキドキが煩い。


「ん、ハッ、琲世…んっ、あ」


琲世の名前を呼ぼうとすると、舌が入ってきて絡みつく。

琲世の左眼は確実に赫眼が出ていて、捕食されているかのような感覚に陥る。


私の唾液を琲世は舌に絡みつけて舐めとっていて、嬉しそうに喉を鳴らしていた。


ちゅ、ちゅっ、んんッ…ぁ…はっ


琲世はそのまま私の首筋をぺろぺろと舐めて耳たぶをほんの少し甘噛みした。
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