第1章 花信風 滝澤 /平子
数日経って、何故か私の部屋には金髪の白スーツを着た人が入ってきた。
たぶん、ナキって喰種だろう。資料で見たことがある喰種だ。
黙って見てたらドカっと私の隣に座る人。
「…滝澤に頼まれて買い物行ってきてやったぞ。食え。」
「え!ありがとうございます」
「人間の食い物なんかわかんねーから、とりあえずあるやつ買い占めてきた」
ドサドサとベッドの上におにぎりや、サンドイッチが置かれる。
「あ、好きなのばっかりです」
「ふぅーん」
「食べていいですか?」
「うん、お前のために買ってきたからな~」
わーいと、おにぎりを食べてるとじーっと見ている。
「…白スーツのナキ…でしょ?」
名前を呼んでみるとすごく驚いた顔をした。
「なんで知ってんだ?!お前何者?」
「…有名だもん」
「俺有名なのか??」
「うん、強いし」
「そうか~?俺強いか??ふふんっ」
とっても単純ってことはよく分かった。
「でも、、でもなあ、俺よりもほんとはもっともっと強い…ヤモリのアニキがいれば…うう…アニキィ…」
突然泣き出してしまって、私のシーツはあっという間に涙でびしょびしょになっていく。
えええ~、どうしよう!!!
すごくないてる!!!!
「え~、うーん、よしよし」
頭をぽんぽんするとちらりとこちらを涙で腫らした目で見つめてくる。
わんこ……。
「お前…人間なのにやさしいんだな…」
そっか、喰種は人間に酷いことをされている。
人間は喰種に酷いことをされていると、各々が思っているんだ。
「人間にも、酷いことをする人もいるし、優しい人もいるよ」
「そっか…、わりい、泣いたからお前飯食えない感じになったよな。泣き止むから食え」
ちょっと照れたように笑うから、こんな喰種もいるんだと少し驚いた。