第1章 出会い
「慧太くん、早速なんだけど…明日一緒に出掛けない?」
わたしがそう言うと、彼はえ、と驚いた表情を見せる。そんなに驚くことかなぁ……?
「ななな、なんですかふたりで出掛けるだなんて…」
「えぇ?だってわたしの部屋の家具が全然足りてないなーと思って」
部屋に置く物が多いから棚とか買っておきたくて、と付け加えると、彼の耳が赤くなる。
待って、この人もしかして…
「……デートだと思った?」
「……あ~~~……そうです……」
しゅるしゅるしゅる、と子どものように縮こまる慧太くん。昨日わたしに『結婚してください』って突然のプロポーズをした人がこれ……?え、なに、かわいい……
「まぁ、ふたりで出掛ける、っていう事実がデートみたいなものだけどね」
「那子さん……もう……」
やめて……と訴える彼が可愛くて仕方ない。女の子に慣れてなさすぎるでしょ……
とにかく明日は慧太くんと一緒に出掛けます!とわたしが意気込むと、さっきまで照れてばかりだった彼はくしゃりと笑った。