第5章 距離
「そうだったんですね…」
僕が近くにいれば良かったのに、そうしたら# NAME1#さんを助けられたのに、と慧太くんは自分を責める。
「慧太くんのせいじゃない…わたしが、結城さんのこと見抜けなかったから…好意を持たせてしまったのが…」
「那子さんは何も悪くない!!」
彼のこんなに大きい声は初めて聞いたから、ビクリと体を震わせてしまった。
「ごめん、びっくりさせちゃったね…その、結城とかいう男が許せなくて」
本当に好きならそんなことしないもんね、と彼はわたしを慰めてくれる。
…慧太くんは信頼できる人だ。
ある日突然“結婚”で繋がれたわたしたちだけど、慧太くんはわたしのことを大切にしてくれる。彼のことはまだまだ知らないことの方が多いけれど、何だか大丈夫な気がする。
「あのね、帰ってきて慧太くんの顔見たら安心したの」
「僕、ですか…?」
「そう」
だってわたしの旦那さんだからね、と付け加えると慧太くんは顔をぽぽぽと赤くする。
「慧太くん、可愛い」
「男にかわいいとか言うんじゃないです…!」
「ほんとのことなので」
…うちの旦那さんは、優しくて、強くて、そして可愛いのです。わたしたち、これからどう変化していくのかな。