第4章 約束
キスの後、かわいい、かわいいと慧太くんはひたすらにわたしを愛でる。そんなことを言われ慣れていないわたしは、ただ固まって顔を赤く染めることしかできない。
「……け、慧太くん、指輪……は……?」
「あっ、ごめんね。忘れてた」
こういうおちゃめなところが可愛らしいと思うんだけどなぁ……彼に言ったら怒られちゃうかも。
「…それじゃあ、那子さん」
慧太くんはわたしの左手をすっ、と自分の前まで持っていって、薬指に指輪を嵌めてくれた。そして、彼自身の左手薬指にも同じものを嵌める。
「はい。これで那子さんと僕は結ばれたね」
まだ籍は入れてないから正式なものではないけどね、と彼はいつものようににこりと微笑む。
晴れて結ばれた後だからか、彼のことが一層好きになった気がした。結婚してから、恋に落ちるだなんて。順序がなんだか違うけれど、これもわたしたちなりの形。
「……わ、わたしは」
「……?」
「慧太くんのことが、大好き、です……」
少し俯きながら彼に想いを伝えると、慧太くんはわたしをぎゅっと抱き締めて、嬉しいと伝えてくれた。