第4章 約束
「…僕、は…」
その言葉の続きを聞くのが怖い。けれど、どんな答えであったとしても『わたしは慧太くんのことが好き』と伝える心づもりは出来ている。
「…那子さんが、好き」
「……へ?」
瞳どうしがぱちりと合う。彼がまた話し始めた。
「…合コンの時、隣の席に来て話しかけてくれたこととか、僕が『結婚してください』なんて言ったのに受け入れてくれたこととか、作った料理を『美味しい』って本当に美味しそうに食べてくれるところとか…すごく、嬉しかったんだよ?」
点と点が繋がって線になるように、彼は語ってくれる。
「あ、あと!那子さん、前に、僕が昼寝してた時キスしたでしょ…?」
「え……?え?」
気づかれて、いた…?今さらあの日のキスを反芻して急激に恥ずかしくなる。
「バレていたんですか……?」
「うん、寝てたら唇に柔らかいものが当たったから…」
実は起きちゃったんだ、と彼は言う。うー…本当に恥ずかしい………
「あの時は…っ!慧太くんが好きで好きで堪らなくなって、それで…!」
しちゃいました……とわたしは言い訳まがいのことをつらつらと並べる。こんなこと言ったって済んだ話だから言い訳しても仕方のないことだけれど…
「…僕から、キスしても、いい?」
「……っ…!」
わたしの返事を待たないうちに、彼は顔を近づけて唇を合わせた。2回目のキスは、甘い味がした。