第1章 出会い
そんな他愛もない話をした帰りに、「結婚してください」である。水城さん…思考ぶっ飛び過ぎじゃないですか……?
ただ、わたしも彼に一目惚れをした身なので人のことは言えない。
「あの、わたしで良ければ…」
そう、返事をしてしまった。付き合うステップを飛ばしても、水城さんはきっといい人だと思う。なんとなくではあるけれど…
わたしの返事を聞いた彼は、目を見開いて驚く。
「え、水城さんが言ったんじゃないですか…」
「そんな…普通はツッコむところじゃないんですか……?」
篠宮さんって変わってますね、と彼は小さく笑う。
いやいやいや!急にプロポーズする水城さんも充分変わってると思うけど!
そんなことを思っていると、水城さんに名前を呼ばれる。
「はい、これ」
かちゃん、と音を立てて渡されたもの。これは、家の鍵……?
「なんですか、これ……」
「僕の家の鍵です、明日からここに一緒に住みましょう」
え、今なんて???
「もう一回言いますね、同居、です。僕と同じ家に住むんです」