第3章 親友と君と
「…結婚指輪、買いにいこうか」
あまりに突然すぎる発言に、わたしは固まってしまった。
えっと、結婚指輪……?確かに慧太くんと結婚したから、その形として指輪は要るかもしれないけれど…
彼はふわりとわたしの手を取る。
「那子さんが誰かに狙われるの、嫌だから。虫よけだと思って、ね?」
瞳をじっ、と見つめられて息が詰まる。かわいらしい旦那さんだと思っていたのに、こういう時はかっこいいの…思わず見惚れてしまう。慧太くんはずるい……
「…わ、わかった」
わたしがそう答えると、慧太くんは満足そうな笑みを浮かべた。
「…那子さん、なんとなくだけど…今日帰ってきたら悩んでそうな顔してたから。解決できて良かった」
気づいて、くれてたんだ…結婚したからといって、お嫁さんの変化にそんな簡単に気づくものなの…?
「う~ん…早速だけど、明日買いに行こうか」
「…え?」
「指輪。那子さんがいないとだめだから、出来るだけ早めに帰ってきてね?」
うちの旦那さんは、わたしを振り回すのが好き…なのですか?