第2章 ふたり
ベッドの前に2人して立つ。
「慧太くんが良ければ…ですけど」
そこで1回言葉を切って。深呼吸してから、改めて。
「今日だけ、同じベッドで寝ませんか……?」
わたしがそう言うと、慧太くんは一瞬驚いた表情を見せたものの、いいよ、と快く返事をしてくれた。わたしが知らないだけで、夫婦になるととこういうことをするのは普通なのかな……?
彼と背中合わせでベッドに寝転ぶ。わたしが言い出しっぺなのに、なぜだかどきどきしてしまう。緊張しないと思ったのにな…
明日は仕事があるのに、このまま眠れなかったらどうしよう……
そんなことを考えていると、ふと彼の声がした。
「那子さん、眠れます、か……?」
くるり、と寝転んだまま振り向いてみると、慧太くんと目が合う。
「…ごめんなさい、あんまりよく眠れなくて……」
慣れない場所だからかな、なんて言ってみる。
「……那子さんが眠れるまで、僕が手を繋いでいましょう、か……?」
そんな提案をされるとは思っていなかった。言葉を丁寧に紡ぎながら発する彼が、かわいらしい。
落ち着くならそれでもいいかな…なんて、彼の手を握る。
「わたしが眠るまで、ですよ?」
それ以上繋いでたら承知しないですからね、と笑いながらわたしは返す。
はぁい、とのんびりした彼の声。ほんとかなぁ……と思うけど、わたしは寝てしまう訳だし、まぁ少しくらいなら許してあげようかな…?
手に暖かさを感じながら、わたしは眠りについた。