第2章 ふたり
「う~~~ん……」
カーテンから微かに差し込む光で目を覚ます。朝だ。隣にいた慧太くんはいなくなっていて、ベッドに彼の体温だけが残っている。
リビングに向かうと、慧太くんは先に朝食の準備をしていた。お仕事の日じゃないのに、早起きだなぁ…
「あっ、那子さんおはよう」
おはよう、と返して、わたしはテーブルに着く。
「お昼、できてるからこれ持っていってね」
そう言って渡されたのはお弁当包み。もしかして、これを作るためにわざわざ早起きしてくれたの……?だとしたら、嬉しいなぁ…
「…ありがとう、慧太くん」
「どういたしまして。でも、これくらいは旦那としてしなきゃいけないかなぁ~…と思いまして…」
言いながら、だんだん小声になって照れる彼。
旦那さん、かぁ…突然結婚して同居したとはいえ、素敵な響きだなぁ。
それからわたしは朝ごはんを食べて、会社に行く準備をする。
「それじゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
玄関前で彼と挨拶を交わした後、わたしは歩き出す。お見送りなんてされたの、いつぶりだろう…慧太くんと出逢う前まではひとり暮らしだったから、この暖かい感情が何だか新鮮に感じた。