第2章 ふたり
「そっか、那子さんはお仕事なのか…」
ふーん…と納得したように彼は頷く。あれっ、会社で働くのって普通、だよね……?
「ごめんごめん、まだ言ってなかったよね。実はうち…水城家は俗に言う“お金持ち”の家でね…」
自分で言うのもどうかとは思うんだけど、と慧太くんは言葉を続ける。なんでも、水城家は祖父の代から会社を経営しているらしく、慧太くんは御曹司?ということになるらしい。
突然の告白に、わたしは料理を食べる手を止めてしまった。
「…じゃあ、慧太くんは…どういうお仕事をしてるの…?」
「……僕はね、基本的に何もしなくても生きていけるんだけど…お父さんや社員さんに頼りきりじゃ良くないと思って。たまに社内に赴いたりとか、社員さんのお仕事とか…」
事務のお仕事を手伝ってるんだよ、と教えてくれる。
慧太くんの正体、というか…職業が想像の上すぎて、同じ世界に住んでいる気がしない。どうして今まで隠していたんだろう……?