第2章 ふたり
わたしの肩にもたれかかって、気持ち良さそうに寝ている彼。
出会った時から思ってはいたけれど……
「慧太くんって、ほんとに綺麗な顔してる……」
前髪から覗く瞳、長い睫毛、整った鼻筋…思わず見惚れてしまいそうになる。
こっそり、彼の髪の毛に触れてみる。見た目以上にさらさらしていて愛おしい、だなんて…
……愛おしい?
まだ、彼に「好き」と言ってもらっていないのに?
結婚したからといって、彼が必ずしもわたしのことを好きだなんて限らない。慧太くんは何か事情があって結婚を急いでいた、とか…?さすがに21才でそれはないか。
彼がどう思っていたとしても、わたしの心臓の鼓動は嘘をつかない。わたしはどうしたって、慧太くんのことが好きなんだなぁ…
彼が目を瞑って完全に寝ていることを確認して、わたしはゆっくりと近づく。
わたしは次の瞬間に、その唇へキスを落とした。