第9章 おはようのキス
壁際に追い詰められた私はジンさんを見上げながら必死に言い返していた。
「んー」
ジンさんは思案気に私を見下ろすと、私の顎に手を添え、くぃと上を向かせる。
この体勢はとてもまずい。
これってキスされてしまうやつでは無いの?
と思う間も無く、
「んっ」
唇をついばむように塞がれる。
「やめてくださいっ」
ジンさんから急にキスをされて、とりあえず必死に抵抗して唇が離れた瞬間、息も絶え絶えに絞り出した言葉は、
「んっ」
またキスによって塞がれてしまう。
「んー!んー!!」
私の必死の抵抗も虚しく、ジンさんの舌が唇を割って侵入して、蹂躙してくる。
たっぷりとジンさんが私の口の中を味わった後、私は立っていられず、ジンさんにもたれかかっていた。
「ジンさんひどいです。。」
「ロロ、お前さん、誰かとキスしただろ」
「えぇ?」
思わずジンさんを見上げると、鳶色の目がこちらを射抜くように見ている。
「そんな、私誰ともしてない」
です、と言いかけて今朝リオに起こされた時のことが頭をよぎる。寝ぼけてたからそんなことはないって思ってたけどまさか?
いや、でもリオそんなこと、しないとも言い切れない。。
「他の男の匂いがするんだよ。俺が我慢してるってのに」
いつも飄々としているジンさんが、珍しいぐらいに苛立っている。
「誰なんだ?」
「そんな、知らないです。。」
リオかもしれない、なんて言って違うかもしれないし。そんなこと言って大事になるのは嫌だ。。思わず目を逸らしてしまうと、ジンさんはその私の顎を捉えて再度上に向かせてきた。
そして、今度はさらに荒々しいキスをしてきたのだった。
まるで、上書きをするかのように。
「ロロは知らない男とこういうことをするのか?」
ジンさんが怒気をはらんだ声で私の首筋に噛み付いてくる。
「あっ」
「そんな風に無防備だから、襲われるんだぞ?」
「やっ」
私はくるりと壁に向かって立たされ、抱きしめられた。その状態のままジンさんの手がするすると下腹部に向かい、スカートをたくしあげられ、蜜壺の中へと指がするりと入り込んできた。
「あぁんっ」
体をくの字に曲げて逃げようとするも、ジンさんにおさえつけられてて身動きがとれない。
くちゅ、くちゅ。。と淫靡な音だけが小部屋に響いていた。