第6章 大浴場で
「ほら、水飲め」
ジンさんが火照った私にバスタオルをかけて、コップに入れた水を飲ませようとする。が、うまくいかない。
「いや、この方がいいか」
ジンさんは水を自分の口に含むと、私に口移しで飲ませてきた。
「んっぷは!」
何度も、何度も口移しで水を飲ませてくる。
「もう、大丈夫ですから!!!」
火照った身体も程よく冷めてきて、私はジンさんの厚い胸板を必死に押し返した。
「遠慮しなくていいんだぜ?」
「もう結構です!」
これ以上されたら溺れてしまう。
意識がはっきりするにつれ、自分の状態が非常に危ういことに気付いて青ざめる。そんな私を見ながらジンさんがニッコリ笑う。
「いや〜ロロはどうしてこうも、無防備に俺の前に出てくるかね」
「私が、入ったときは、女湯だったんです!!」
途切れ途切れになんとか抗議する。
「あぁ、それか」
ジンさんは納得した、という顔をする。
「お前な、風呂に何時間入ってたんだよ。今はこっちは男湯の時間だぞ?」
「そんな!」
お城の大浴場って、そんなシステムあるの!??
混乱する私を愉快そうに見ながら、ジンさんが私の手首をとって脈を素早く測る。
「うん、もう大丈夫そうだな?」
「何が大丈夫なんですか。。」
私は恥ずかしくて堪らず俯く。
頭が混乱してよく見てなかったけど、ジンさんの筋肉質な上半身が目の前にある。下はさすがにバスタオルで隠されてるけど、こういうのは目の毒というか。
「と、とりあえず。私、もう出ます!」
慌てて逃げ出そうとする。が、足に力が入らない。
「ロロ、俺がお前さんをそのまま逃すと思うか?」
ジンさんが猛禽類のような鋭い目をしてこちらを覗き込んでくる。
「ここからは大人の時間だろ?」
そう言うと私からバスタオルを剥ぎ取り、お姫様抱っこの状態でまた大浴場の中へ連れて行った。
ジンさんは洗い場の椅子に私を座らせると、温かいお湯をかけてきた。
「汗かいてるだろ?洗ってやる」
「!!!いいですっ!!」
拒否する私の腕を掴むと、ジンさんが椅子に座り裸の私をその膝の上に乗せてきた。
「いいからいいから」
手慣れたように片手で石鹸を泡立てながら、片手で私を後ろから拘束する。