第6章 大浴場で
「はぁ〜気持ちいい…」
私はお城の大浴場で湯船に浸かっていた。
さすがお城の大浴場だけあって、絢爛豪華なことこの上ない。
時間帯にして深夜なのだが、この時間帯は自由に入れる時間帯だそうなので、せっかくなので入らせてもらうことにした。
広い浴槽にお湯が満ちている。
薔薇風呂なんかもあって、しかも時間帯のせいか独り占め状態。
「贅沢だなぁ〜」
身体がほぐれていくのを感じる。
と、ガラララララ!!と入り口の扉が開く音が聞こえてきた。
他のメイドさん、誰か入ってきた?と入り口を見やると、なんとそこにはジンさんがいた。
なんで、ここにジンさんが!!!
思わず叫びそうになる口を手で押さえて、私は岩場の影に隠れた。
入口からは結構遠いし、見られてないはず。
ちょっと待って??ここ女湯だよね??
あれ??あれ???
お湯につかりながら必死で思い出す。
もしかして私が間違えて男湯に入っちゃったとか??いや、そんなことはないはず。私が入ったときは絶対女湯だった。
ジンさんのどすけべ!!
見つかったら絶対に言ってやろうと心に誓いつつ、見つからない方が安全と判断した私は、ジンさんが浴場から出るまで待つことにした。
ジンさんが鼻唄を歌いながら身体を洗っている。
どうやらこちらには気付いてないみたい。
ほっとしたのも束の間、私の体はお湯につかりすぎてかなり熱くなってきてしまった。
男の人だし、すぐ出ていくよね??
ジンさんから見えないようにこっそりと岩場から様子を伺う。
それからさらに10分間、ジンさんは浴槽に浸かっている。なかなか出て行ってくれない。
頭がフラフラしてきた。ちょっと気持ち悪いかもしれない。
「ロロ!そこにいるんだろ?」
「!!!!」
私はびっくりして心臓が止まりそうになった。
「そろそろ出てこないとぶっ倒れるぞ?」
わたしが固まって動けずにいると、ジンさんはやおら立ち上がり、私の隠れていた岩場までやってきた。
「みーつけた⭐︎」
「ジンさんなんで。。」
「ロロのいる場所はジンさんどこでもわかるって言ったろ?」
くっくっと愉快そうに笑う。
「にしても、ロロはどすけべだな。男湯に入るとは大胆すぎやしないか?」
「なっー!」
抗議の声をあげようとするも、ふらりと倒れ込んでしまった。
ジンさんはそんな私をヒョイとお姫様抱っこすると外へ連れ出した。