第2章 『先輩』じゃなくて【ケイ監】※微裏(仮)
「まぁそうだな。同じ部屋にいれば分かるんじゃないか?」
「そ、そうなんですか…」
「香水を付けるほど気を使う生徒はあまりいないからな。目立つといえば目立つと思うぞ」
「なるほど…?ケイト先輩、嫌に思わないでしょうか」
「どうだろうな。俺なら少し嫌かもな」
「そうなんですか?」
「ああ。それが俺の為だとしたら余計にな」
ケイトも幸せだな、と少し意地悪に口角を上げるトレイ先輩に敵わないなぁ……と思う。
まだもやもやしているけれど、少しマシになった。
なんて考えていると予鈴が鳴った。
「役に立てずすまないな…それとなく聞いてみるよ」
「ありがとうございます!お願いします」
「ああ。じゃ、遅れないようにな」
トレイ先輩はなんていい人なんだ…!そう思いながら早足で廊下を歩く。
すると、教室の少し前である人を見つけた。
「ケイト先輩…?」
こちらに気づく様子は無いけれど、スマホで誰かと親しげに話していた。
もしかして用事ってその人との電話…?
相手は誰だろうか…女の人だったりする?
ケイト先輩から目を逸らして教室に入る。
その少し後に聞こえた「〇〇ちゃん、またね」という声に、胸が苦しくなった。
授業中もそのことが頭から抜けず全く集中出来ない……
と、隣にいるエースが心配して声をかけてきた。
「どうした?やけにソワソワしてんじゃん。ケイト先輩にやっとヤキモチ妬いてもらえた?」
「……そんなんじゃないよ」
「…?」
ヤキモチどころか、もしかするともう私のことなんて好きじゃなくなったかもしれない。
そう思うと余計に集中できなくなる。