第2章 『先輩』じゃなくて【ケイ監】※微裏(仮)
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お昼になった。
中庭に行き予定通り今じゃなくても良い電話をかけ直す。
…別に拗ねてないし。ヤケになってもないし。
姉達といえばこっちの気持ちなんかお構いなしでうるさく騒いでいる。
さっさと電話を切ろうとしても会話は途切れず、気づけば予鈴が鳴る時間になった。
「じゃあね、〇〇ちゃん」
『ちょっとケイト!お姉ちゃんって呼びなさいよ!』
「あーごめんごめん」
ふとユウちゃんの付けていたオレンジの香水の匂いがした。
通りかかったのかな?なら話したかったな…そう思いながら次の飛行術の準備を急いだ。
なんとか授業には間に合って、ボーッとしているとトレイくんに話しかけられる。
その瞬間、俺はうっかり分かりやすく機嫌を悪くしてしまった。
なんでユウちゃんの香水の匂いが?
昼に会ってた?
匂いがつくほど長い時間何してたの?
聞きたいことはいくらでもある。
そしてトレイくんから「ケイトは独占欲が無いのか?と聞かれた」なんていわれるから。
あるよ。俺にだって。
出来る事ならユウちゃんは他の男といて欲しくない。
ましてや今日、香水を付けているユウちゃんとは。
『ケイト先輩の髪の色とお揃いです』なんて可愛いことを言ってくれる可愛い彼女とは。
本来なら彼女の相談に乗ってくれたトレイに嫉妬するなんて最悪だ。
でも、聞けば聞くほど苛立ちは増す一方で。
会話を終わらせるためにお飾りで一応ありがとう、とは言ったけれど。
そんなこと微塵も思っていない。
ユウちゃんが独占をお望みなら、オレは容赦しない。
オレだっていつまでも『先輩』じゃない。
『ユウの彼氏』なんだから。