第1章 IFストーリー 安土の蝶と越後の龍 「琴菜様リクエスト」
聞いていて、怒りが膨れ上がりそうな男達の声。しのぶは、即座に飛び降り刀を構えた。
「蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ」
ザシュッ…!
「…がはっ…?!」
まず、一人目を仕留める。次に二人目を仕留めようとすると、背後から何者かの気配がして、一度、頭上に飛んだあと敵の位置を確認した。しかし、私の先程の場所には背後に誰もおらず可笑しいと思っていた時だった。
ヒュンっ…!トッ…!
「っ…な、!」
完全に死覚から吹き矢を首筋に撃たれて、一瞬体制が崩れた。そのせいでバランスを崩してしまい、男たちがいる場所に落下した。
ドシャっ…!!
「…くっ!」
「おお…危ねえ…。完璧な時だったぜ、ありがとよ。」
「へへっ…いいってことよ。それより、この女どうするよ?…さっき随分と仲間に酷いことされたしなぁ…。」
男たちのニヤついた顔を見て動こうとするが体が動かない。…さっきのは毒を塗ったのか…。しかも、かなり強力なっ…!しのぶは毒に体制があるため、毒を盛られてもある程度、意識を保つことが出来るが、今回は、それが裏目に出た。意識を保ったまま、動けない状態になっていた。
「…(ボソっ)よりにも寄って、こんな時に動けなくなるなんて。…っ!!」
「おいおい、此れはひょっとするとお楽しみってやつかぁ…?」
「ぎゃははは、こんな所に来ちまったんだ、ヤッちゃってもいいんじゃねぇか?」
そう言って、男たちは動けないしのぶの服に手を掛け帯を外し始めた。下卑た笑いがこの空間を満たす。しのぶは次第に胸を揉まれ始め、瞳に涙を浮かべた。
「…くっ…っ…。」
「はは…こりゃ上玉じゃねぇーか!一足先に味見でも…。」
もう駄目だ、そう思った時だった。
ドゴォォォォ…!!
「…なっ…?!なんだ…?!!」
突然見張りの男がふっとばされた。しのぶは意識を朦朧としながらも、その方向を見た。
「…貴様ら、誰の許可を得てその女に触っている…?」
今まで見たこともないような形相をした謙信が現れた。その形相は正しく鬼、軍神と言われるあの傍若無人な存在であった。その後からは余りにも一方的であった。襲いかかる男をまるで、虫を踏むかのごとく、謙信は蹴散らしていった。
「ひっ…ひぃぃぃぃ…!!」
最初にしのぶに吹き矢を撃った男はその戦いぶりに泣き崩れながら、その場から逃げ出そうとした。