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番外編の蝶姫

第3章 IFストーリー 魔王と蝶の湯煙温泉旅


そう、実は普通に振る舞っているがしのぶは家康にあの戦いの後、告白されていた。しのぶはその時の事を思い出して、ぷるぷる震えていた。

「…だっ、だって、あんなに熱烈に言われたことなくて…。その、私の容姿を見て言い寄ってくる人が殆どでしたので…。なんて、断ったらいいのか…。」

そう、しのぶの容姿からして男にモテる事は間違いないのだが、鬼殺隊に居たせいで恋愛の事などましてや、自分が結ばれる事など想像もしていなかった。なので、しのぶはこの気持ちに戸惑いを隠せないのだ。

「ほぉ…家康がなぁ…。で、なんて言われたんだ?」

政宗は口元の笑みを深めながらしのぶに近付いた。その言葉を聞いたしのぶは顔を真っ赤にしながらその場を去ってしまった。

「…しっ、失礼します!!」

その様子を呆れながらも背中を見送る政宗は取り敢えず、第一関門を家康が突破した事の祝勝会を陽と二人で開こうかと考えていた。



場所は変わって、天守閣。安土城の主、織田信長は不機嫌な顔をしていた。…それは、ずっと応援していた筈だったあの二人の事だった。

「…はぁ、俺とした事がこの様な染みったれた考えではいかんな。…俺は一体何がしたいのだ。」

しのぶと家康の仲は応援していた筈だった、でも自分の中の感情がそれは違うだろうと喚く。信長は訳が分からなかった、この感情の意味を知ってしまったらもう、戻れないだろうと分かっていた。最初はただ面白い女だと思っていた、自分をあの炎の中から救い出したのに褒美も受け取らず、この俺に条件まで突き出してきた、他の女とは決定的に違う女。最初は所詮玩具だと思って、いずれ飽きるのだろうと考えていた。でも、自身の予想は尽く外れた。しのぶは安土城下で有名な女の医者になった。それも大層腕のいい医者として。しかも、それが安土城の姫なのだから評判になって尚更いいと思っていた。でも、しのぶが俺の褥に来ることはこれまでに一度も無く、あの約束は果たされることは無かった。本当に自身の思い通りにならない女だと思った。…しのぶの傍には必ず家康が居た。あいつなら任せてもいいだろうと思った。そう思っていた。だが…。

「結局、未練が残ったまま…温泉を口実にして共に居ようとするなど以前の俺が聞いたら、戯け…と言うに違いない。」

信長はこのまま黙って家康の傍へ行くしのぶを見るくらいなら、しのぶに想いを告げたかった。
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