第3章 IFストーリー 魔王と蝶の湯煙温泉旅
「クックッ…それでは御館様、何処の温泉に行くのですか?」
光秀は先程の光景を思い出し笑いをしながらも、信長の言葉を待った。それを聞いていた信長は口角を上げて、話した。
「ふっ…草津の温泉だ。」
「…草津の温泉ですか…?」
しのぶと同じく皆も不思議そうな顔をして呟いた。それに対しては、秀吉は驚きもせずに如何にも知っていましたという顔をしている。
「…そうだ、猿。説明は任せる。」
「…はっ。」
信長の指示によって、秀吉から説明が始まった。何でも、温泉の湧き出る泉のような場所があるらしい。それを聞いていたしのぶは嬉しそうな顔をして微笑んだ。
「わぁ…温泉なんて、一体何年ぶりでしょうか。…とっても楽しみです。……因みに、温泉玉子は有りますか?」
しのぶがそう聞くと秀吉が優しそうな目をして応えた。
「ああ…丁度そこの名物にもなっているらしい。…温泉玉子が好きなのか?」
秀吉に聞かれるとしのぶは少しだけ困った顔をした。
「…実はお恥ずかしい事に、私、温泉玉子を食べたことが無いんです。なのでどんな、味がするのかを知りたくて…。」
しのぶは少しだけ顔を赤らめながらも呟いた。それを見ていた、家康はしのぶの余りの可愛さに胸が苦しくなって蹲った。
「ゔっ……くっ…、!」
「…?…家康さん?…大丈夫ですか、家康さん?」
しのぶは隣にいた家康の肩をゆすり反応を確認していると反対側から彼女の肩を軽く叩く者がいた。
「ふっ…し…心配、いらねぇ…って。クック…いつもの事だから。…クック。」
政宗は笑いながらも、取り敢えず家康を助けてやろうとしのぶの気を反らした。
「…まじ、おもしれぇ…!クック…!」
「……本音、漏れてるの分かってます?政宗さん?」
それを家康は親の敵を見るような目で顔を真っ赤にしながら見つめた。
「…いやぁ…悪気はねぇって。」
「いや、悪気あったらこっちが困ります。」
家康は漸く落ち着き、面白くなさそうな顔を政宗に向けた。
「へいへい、お熱い事で…。」
「…っ政宗さんっ!!」
家康はからかう政宗に噛みつきながらも話が進まないと思い、秀吉の話を促した。
「…秀吉さん、話し続けて。埒が明かない…。」
「…お、おうっ。…なんか悪いな…。」
「…っ別にいいから早く!」
家康はこの雰囲気をどうにかしたかった。