第3章 IFストーリー 魔王と蝶の湯煙温泉旅
「…それじゃあ説明させてもらうと…。」
そうして秀吉さんの説明会が始まり、最初は普通にわかり易かったのだが、最終的には信長様の何処が素晴らしいかを褒める会になっていたので強制的に信長様に止められてその場は解散となった。
「…で、家康さんは顔の熱は取れましたか?」
しのぶは先程取り乱していた家康に近付き微笑んだ。それを見ていた家康はゔっ…と息詰まるも咳き込んだ後に話し出した。
「うん、平気。…それより、あんたは平気なの?その…混浴…とか。」
段々と話す声が小さくなる家康に少しだけいたずら心が湧いたしのぶはニヤニヤと口元を緩めた。
「へぇ…なるほど。それで、取り乱していたんですか…、もしかして想像したんですか?私の裸を…。」
それを聞いた家康は耳まで赤くしながらも、しのぶから顔を背けてボソリと呟いた。
「…うん、そう。……悪い?」
家康の予想外の返しにしのぶは思考が一旦停止するが、途端に顔を紅くする。
「…えっ?あのっ…それ、本当ですか…?」
「…うん、それにずっとあの時の返事貰ってない。…いい加減、返事してくれないと………俺、何しでかすか分かんないから。」
そう言って家康はしのぶの手首を自分の下に引っ張り、耳元で囁いた。それを聞いたしのぶは口をパクパクさせて勢い良く彼を押して離した。
「…此処が何処だか分かってます?!…皆見てっ…!大体あの時だって、あなたが勝手に…。急になんっ…。」
それを見ていた、家康は口角を上げて彼女にだけ見えるように微笑んだ。
「…うん、あんたがどういう人間だか、漸く分かったから此方で勝手にやらせてもらう。…今は俺の事が眼中に無くても絶対に振り向かせるし。」
「…ちょっ…!まっ…!!」
しのぶが焦って顔を真っ赤にしている事もお構い無しに彼はそそくさとその場を去ってしまった。それを見ていた、野次馬は勿論この男だ。
「ひゅう〜!あいつもいよいよ本格的に動き始めたって事か!流石は毒姫だな!あの家康を虜にするなんて。」
ニヤニヤと笑いながら背後に近付いてきた、政宗にしのぶは顔を紅くさせながらも反論する。
「政宗さん…?完全に面白がってますよね?」
「まぁな。…でも嫌じゃなかったんだろ?あいつに告白されたとき。」
それを聞いてビクッと肩を動かすしのぶ。
「ゔぅ…それ聞きます?」
彼女の顔は紅くなっていた。