第2章 烏養繋心
キスマークに大慌てした初めてのあの日から数ヶ月が経つ。
最近は学校生活にも結婚生活にもだいぶ慣れてきた。
何度となくバレそうな危うい場面があったけど、なんとか乗り切っきた。
でも、日向の発言から始まった今のこの状況はまずいなんてもんじゃない‼︎
「なぁ、俺前から思ってたんだけどさぁ、ひのと烏養さんって同じ匂いだよな」
なっ⁉︎
何言い出すのよぉ、日向ーー‼︎
「そうかなー?」
私は焦っている事を悟られまいと必死に平常心を保とうとしている。
「あぁそれな。俺も思ってた」
と、スガさん。
「自分じゃ分からないからなぁー」
と言いながら襟元を引っ張って服の匂いを嗅いでみる。
そんな私を見て、日向や影山くん、スガさんまでもが私の髪や服の匂いを嗅ぎだした。
知らない人が見たら異様な光景でしかない。
「お前ら何やってんだ?」
繋心が真っ黒オーラをまとって近づいてきた。
「今、ひのと烏養さんの匂いが同じだよなって話をしてたんです」
日向の説明を聞き繋心の顔つきが変わる。
繋心もヤバイと思ったみたい。
「どれどれ…」
と言いながら私の首元に顔を寄せてくる繋心。
「ちょっ、近過ぎます烏養さん‼︎」
「あぁ、悪りぃ悪りぃ。俺こんないい匂いしてるかぁ?」
「してますよー」
と、さっきまで私の匂いを嗅いでいたみんなが今度は繋心の匂いを嗅ぎだした。
そして、私と繋心を交互に嗅ぎ
「やっぱり同じですって」
「うん、一緒だ」
まずい…そりゃぁシャンプーも柔軟剤も同じの使ってるから同じ匂いになるわな。
「烏養さんはシャンプー何使ってます?」
「んーー、覚えてねぇな。風呂場にあるやつただ使ってっから」
「私、ポンテーンなんです。もしかして烏養さんもそれじゃないですか?」
「あー、そんな名前だったかもしれねぇな」
「やっぱり。あと柔軟剤は花の香りので女優さんがCM出てるやつじゃないですか?」
「それは全く分かんねぇ。おふくろに任せっきりだからな」
「今度見てきてください。たぶんそれだと思いますから」
「分かった」
いい感じにごまかせた…よね。
「なーんだ、俺はてっきり2人が同棲とかしてんじゃないかと思ったのに」
スガさんなんて事を‼︎