第1章 田中龍之介
「ひの、改めて言う。
俺の、彼女になってくれ」
「はい」
「「おーーーーーー‼︎‼︎」」
体育館に盛大な拍手が鳴り響いた。
「良かったな、ひのちゃん」
「縁下さん、ありがとうございます。縁下さんに相談に乗ってもらえたおかげです」
「別に俺は何もしてないよ。ひのちゃんの田中愛の力だよ」
「おいおい力くん、俺のひのを口説いてんじゃないよ、コラ」
「口説いてなんてないよ。ちょっと話してただけじゃんか。なんだよ、いきなりやきもちですか?田中さん」
「や、やきもちじゃねぇよ。何言ってやがる」
「先輩やきもち妬いてくれたんですか?」
なんか嬉しくなって私も言ってみた。
「だから別にそんなんじゃねぇって言ってんだろうが」
なんだ…違うのか。
ちょっと喜んじゃった私のバカ…。
「ひのががっかりしてるじゃないですか、田中さーん。やきもち妬かれるって事はそれだけ自分の事好きでいてくれるからって事で嬉しいんですよ。でも違うんですね。田中さんは妬いていないと。ひのへの想いはそんなものって事ですね」
「月島よ、お前に言われると余計に腹立つなぁ。ひのと同じクラスっつったよな。クソォー、ひのがもう1年早く生まれてりゃ俺が同じクラスになれてたかもしれねぇのによ‼︎月島、俺と変われ‼︎」
「いやです」
「即答か」
「当たり前でしょ。
ねぇひの、本当にこの人でいいの?」
「もちろん。私には田中先輩しかいないもん」
「ひの…。
聞いたか月島‼︎」
「はいはい、ご馳走様です」