第1章 田中龍之介
「好きだ‼︎」
田中先輩の声が体育館に響いた。
「「‼︎⁉︎」」
静まり返った体育館にまた先輩の声が響いた。
「俺もひのが好きだ‼︎」
今、なんて…
好きって…私の名前に聞こえ…た…?
「おい、ひの聞こえてっか?」
私はコクコクとうなずく
キュッキュッと靴の音が近づいてくる
先輩が私の前に立った。
「なぁひの、力に言われてやっと分かったんだけどさ、俺ひのが好きだったみたいなんだ。俺、人を好きになった事がねぇから好きって気持ちがどうゆう事なのか分かんなくてさ。
俺、お前と喋ってるとすげードキドキするっつうか嬉しいんだ。お前が他のやつと楽しそうに喋ってんの見るとなんかこうイライラするっつうか見たくねぇっつうかだしよ。
お前が月島と楽しそうにしてんのも見たくねぇし。
それがどうゆう事なのか分かんなかったんだが、それが、
恋なんだって言われた」
せ、先輩が恋について一生懸命説明してくれてる。
先輩の顔が真っ赤になってるのを見たらまた涙が出てきた。
嬉しくて…
「頼むから泣くな」
「ごめんなさい…嬉しくて」
「あとさ…潔子さんの事だけどよ。お前もしかして何か勘違いしてるかもしれねえから言っとくが、潔子さんは俺にとって憧れの存在だ。好きとは違う。言ってみれば潔子さんは手の届かないアイドルみたいな感じだから見て楽しむ感じで、ひのはそのちゃんと触れられる人…だから、そのキ、キスとかその他諸々なことができる人ってゆうか」
「田中ー、いきなりそれを言うのかぁ?」
「積極的だなーおい」
「田中さん、カッケーっす」
「どこがだよ‼︎エロいだけじゃんか」
「う、うるせー‼︎」
「ふふっ」
私はそのやりとりに笑ってしまった。
「ひのはやっぱ笑った顔が一番だな。すげー可愛いぞ」
「せ、先輩⁉︎」
「龍ーー、いいぞぉ‼︎」