第1章 田中龍之介
次の日、私は委員会の仕事を頼まれて帰りが遅くなってしまった。
こんなに暗い中帰るの久しぶり。
前に帰ったのは、田中先輩に送ってもらった時だったな。
暗い道を帰るのはやっぱり怖い。
子供かいっ‼︎って思っちゃうけど、怖いものは怖い。
いくつになっても慣れない。
誰か一緒に帰ってくれそうな人いないかなぁ。
無理か…。1人で帰るしかないと諦めて歩き出したところに元気な声が聞こえてきた。
日向ボゲッ…うるせー影山…お前ら、静かにしろー…田中ータオル忘れてっぞぉ‼︎…あー悪りぃサンキュー‼︎
なっ⁉︎バレー部今帰りなの?そんな時間?
ど、どうしよう…
みんなが出てったら帰ろ。
見つからないように背を向けて、バックの中のものを探してるフリをして通り過ぎてくれるのを待った。
どんどん近づいて来る。
どうかバレませんように…
「おい龍、今日の潔子さんすげー可愛かったよなぁ」
「あぁ。あんな潔子さんの姿見られるなんて超ラッキーだったな。
照れた顔がまたいいーーっ‼︎」
よりによって、なぜ今このタイミングでそんな話するかな…
私のいないところで話してくれればいいのに…
ダメっ、泣きそう…
涙が出そうなのをグッとこらえてたら、
「何やってんの?こんなとこで」
ビクッ‼︎
この声は…
月島くん。
「シィーーッ。何でもないから気にしないで行って」
「あれぇー?佐倉どうしたのこんな所で何か探し物ー?」
「こ、声大きい‼︎シィーーってば」
私は月島くんに静かにして欲しくて必死。
でもみんな一斉にこっちを見た。
月島くんのばかぁーーーー