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名もない物語

第6章 【ニャパラッチ】


「げっ…」

「……あ、鬼灯さん」

「何故貴方がここにいるんです?」

廊下のド真ん中で堂々と香純に後ろから抱きついている白澤を睨みつける鬼灯。

「書類渡しに来ただけー。あ、勿論それはついででちゃんに会いに来た」

ぎゅー、と抱きしめる腕を強くする。

「いいかげん、その汚い手をさんから離してください」

「ふん、嫌だね」

バチバチとを挟んで睨み合う二人。
そんな状況を小判が放っておくはずない。

――これはまさかの…宮中三角関係!?超ド級の特ダネじゃねーか!

「……猫…」

「ニャ?」

いつの間にか白澤の腕の中から解放されたが小判に気づいた。

勿論、二人は罵倒し合い中である。

「もふもふ……」

ぎゅ、と小判を抱きしめて耳元に口を寄せる。

意外と動物好きらしく、その手つきは鬼神とはおもえないほど優しい。

「にゃ、にゃふっ」

――さ、さすがウワサの美人補佐官……わっちをこんな簡単に手懐けるとは。そして何より、柔らかい…!

「……鬼灯さん…取材、ダメなの?」

「ええ、断ろうと思ってたんですが……」

「やらせてあげたら?……可愛いし」

「…………しょうがないですね」

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