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名もない物語

第3章 【白澤】



「大体僕は吉兆の印だよ。こんな常闇の鬼神と親戚だったら信用ガタおちだよ!あ、でもちゃんは別。逆にお近づきになりたい」


グイ、と白澤がに顔を近づける。

「神獣だから……白澤、様?」

可愛らしく首を傾げ、そのうえ身長差で上目づかいになっている。

相手が白澤でなくとも男なら理性が飛――

ゴッ

――ぶかわりに金棒が飛んできた。

「~ったいな、もう!ちゃんに当たったらどうするのさ!?」

「当てませんよ。それより、注文していた金丹は?」

「あーハイハイ。それはキッチリ本物を」

「偽物があるの前提ですか」

「100円ショップに売ってる『トラベル中国語会話』にすら『・是真・・?』って例文が載ってたからね」

「大事な文なんでしょうね」

「……金丹?」

「中国の妙薬です」

「コレだよ」

「わ……キレイ…」

「貴重なものだよ。医療研究の一環じゃなきゃ、こんなヤローに渡したくないんだけどさ。あ、今度から香純ちゃんが取りに…」

ツカツカと歩み寄ってきた鬼灯に気付き、口を噤む。

「な…何だよ……」

金丹の乗っている手の上に鬼灯がポン、と手を重ねる。

「?え……何?キモチ悪……」

メキメキメキ

と、骨が軋む音がしたと思ったら鬼灯が叫んだ。
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