第11章 この世界でのお仕事
珠を白ひげ海賊団に渡して数ヶ月。
一度も白ひげ海賊団にも他の海賊にも呼ばれたことはない。
『うーん
エースがいなくなって仕事しようと思ってたのにこれじゃあなぁ…
白ひげさんのところに遊びに行くのも何か気がひけるし…』
机にだらしなく寄りかかりながら溜め息を吐いた。
しかし、次の瞬間頭に珠が壊された感覚が伝わってきた。
すぐさま立ち上がり神経を集中させ、割れたのはどこなのかを探る。
『またグランドライン…
しかもこの気配は…』
でも呼ばれたからには行くしかないと、クラウンクラウンとダークブーツを発動させ飛んでいく。
嫌な予感しかしなかったが…。
『あの船か…』
上空から見つめる視線の先には白ひげの船に負けず劣らずの大きな船。
海賊旗にはドクロの左目に三本の傷。
そう、赤髪海賊団である。
しかも見たところどこかと交戦中でもないようだし、船も騒がしくないので怪我人がいるわけでもなさそうだ。
まぁ騒がしければすぐにでも降りていくが、生憎嫌な予感しかしないので降りたくないのだ。
だがこのまま帰ってしまえば白ひげとの約束を破ることになる上、この珠が使えないと思われてしまえばだめだ。
そう思って嫌々ながらも船に向かって空中を蹴った。
白ひげの時と同じように手摺に降り立つ。
周りを見渡せば唖然とした赤髪海賊団のクルーたち。
知っている顔がいないとなるとどうやら下っぱしかいないらしい。
『私をお呼びになったようですけど何かご用がおありですか?』
そう尋ねれば一人のクルーが
「ほんとに来た…」
と呟きどこかに走っていった。
おそらく誰か連れてきてくれるのだろうと思い、恋歌は静かに手摺に立ったままでは失礼かと甲板に降りる。
ちなみに今日恋歌は短パンをはいているので足が動かしやすい。
スカートは動きやすいが戦闘には不向きだと思い最近ははいていない。
ジーパンなどをはくとダークブーツが発動したときに変な格好になってしまったので短パンにしたのだ。
短パンならば動きやすいしダークブーツも発動しやすいということで大量に購入し、愛用している。
上は長袖のカッターシャツを着ている。
暫く待っているとさっきのクルーが数人の男たちを連れて戻ってきた。
先頭にいた男は恋歌を見て嬉しそうに笑う。