第10章 未来への布石
一応恋歌は挑発のつもりでわざと言った。
しかしまわりはそれに気付かず、
「上等だ!」
「俺ら全員一気に相手できるならやってみろ!」
「後悔しても知らねーぞ!」
「女だからって容赦しねーからな!」
その言葉に恋歌も我慢の限界がきた。
『ですから、いつ私が女だから手加減をしてくださいと言いました?
あなたたちが勝手にしたことでしょう?
それとも何ですか?
私に負けた理由を女だから手加減してやったからしょうがないとでも言うおつもりですか?
大の男が情けない!
男なら何にでも全力でかかってきたらどうなんです!?』
「言わせておけば好き勝手言いやがって!」
「行くぞ!お前ら!」
その言葉を合図に周りにいた男たちが武器を出して一斉に襲いかかってきた。
マルコをちらりと見上げるとクルーたちを止めようとしているのか足を近くの手摺にかけている。
『マルコさん、手出しは無用です
この程度ならなんとかなるので』
それだけを言うと発動したままのダークブーツのスピードを活かして男たちを気絶させていった。
なるべく船は壊さないようにと意識し、時には蹴り飛ばしたり、こかしたり、誰一人として恋歌に傷どころか触れることさえも出来なかった。
気がつけば立っているのは恋歌のみ。
マルコはその光景を見て開いた口が塞がらなかった。
なんせこの光景が出来上がるまで五分もかかっていないのだから。
『さてマルコさん
これで認めていただけます?』
マルコは悔しそうに唇を噛み締めた。
しかし後ろから馴染み深い気配がして振り向く。
マ「親父…」