第9章 山賊たちの元へ
夜はいつも通り恋歌がエースを抱き締めて寝た。
朝は珍しく恋歌が先に起きた。
目の前の寝顔も暫く見れなくなるし、寝るときに抱き締めるエースもいなくなる。
『(やっぱ寂しいよね…)』
暫くエースの寝顔を見ていると、エースが起きた。
『おはよ、エース』
エ「んー?母ちゃん?
おはよー」
ちょっと寝惚けているエースが可愛い。
『起きよっか、ガープさん来るし』
エ「うん…」
渋々といった感じで起き上がる。
いつも通りに準備をして朝食を食べたあとにエースの荷物を軽くまとめる。
エ「これ持っていってもいい?」
そう言って指された指の先にはエースの誕生日に撮った写真があった(何故かガープの写真も横にある)。
『うん
何でも持っていってもいいよ』
エ「これ、大事にするから…」
本当に大事そうにそっと荷物を入れていたリュックに詰める。
『忘れ物ない?』
頷くエース。
するとタイミングよく扉が叩かれた。
扉を開ければそこには予想通りガープが立っていた。
ガ「さて、行こうかの」
エースが荷物を背負って家の外に出る。
ガ「暫しの別れじゃ
一応行き先は伝えないでおくが、なぁにワシの知り合いじゃ
安心して任せるんじゃ」
『はい
エース、またね
何かあったら呼んでね?』
最後はエースにしか聞こえないように言った。
エ「ああっ!
またな!母ちゃん
俺強くなるから!!
強くなるまで俺はこれを使わないかもな」
そう言って誕生日からずっと付けているペンダントを持ち上げて見せる。
ガ「ん?なんじゃそれは」
エ「へっ、じじいには教えてやんねー」
ガ「またこいつじぃちゃんのことをじじいと呼びおって!!」
エ「じゃあな母ちゃん!!」
二人して全力で走って行ってしまった。
『(さて、私は私でやることやりますか)』
恋歌は息子たちが海に出やすいように布石をしておこうとある商売をしようと考えていたことを行動にうつそうとしていた。