第9章 山賊たちの元へ
『逆に私の方がエースに忘れられそう』
そう笑って言えばエースは立ち上がり後ろを向く。
立ち上がった勢いで水しぶきが飛んでくる。
エ「それこそ一番ねぇよ!
俺は絶対この先何があろうとも母ちゃんのことを忘れるなんてことは絶対にない!」
風呂場だからかよくエースの声が反射して聞こえてくる。
しかし言われた言葉は相当嬉しいものであった。
恋歌は座り、エース立ち上がっているので今はエースの方が目線は高い。
恋歌はエースを見上げながら笑う。
『私もエースと同じぐらいあなたを忘れるなんてことは絶対にないよ
私がエースとの約束を破ったことあった?』
エ「…ない」
『じゃあ信じてくれる?
私はエースを忘れない、約束する
それに私に会いたくなったらそのペンダントで呼んでくれればいいわ
私だってエースに会いたいんだから』
恋歌はエースに手を伸ばして引き寄せる。
エースは抵抗もなく腕のなかに収まった。
出会った頃よりだいぶ大きくなったエースに嬉しさを覚えながらぎゅっと抱き締める。
エ「相変わらず母ちゃん柔けぇな…」
『それはいい意味で?』
エ「当たり前じゃんか
母ちゃんのこと太ってるって言ったやつは俺がぶっ飛ばしてやるよ」
『ふふっ、ありがとう
じゃあ言われたらエースに言うね』
エ「まかせとけ!」
そう言って笑ってくれた顔も暫く見れなくなると思うと少し寂しくなった。