第6章 エースの心情
でもこいつは違った。
こんな俺を気遣ってくれて、抱き締めてくれて、風呂にも一緒に入ってくれて、俺に遠慮をするなと言った。
今までは我が儘を言ったところで誰も聞いてくれるような人はいなかったし、じじいは仕事もある上に海軍だ。
俺との関係を考えると甘えたことは何も言えなかった。
だから俺が年なんか関係なく大人になるしかなかった。
そんな俺を普通の子どもとして見てくれている。
買い物の時に変なやつに絡まれた時も、自分は俺の母親だと即答してくれた。
あいつがあの男に触れられたのが嫌でいつの間にか体が動いていた。
情けないことにその後は守られてしまったが。
あいつは俺が守ってやりたいと本当に心からそう思った。
だけどが、あいつは不思議な力が使えるらしくて、俺なんかよりも全然強かった。
怒った時は怖かったけど自分のために怒ってくれてるとわかったらなんだかむず痒い気持ちになった。
買い物から帰ってきて俺の物が増えると何だかここにいてもいいんだって言われてるような感じがして嬉しかった。
最初の日みたいにあいつの膝の上で飯を食べるのも悪くはなかったが、誰かと一緒に飯を食べれるっていうのもいいと思った。
殆どの飯は俺が食べてしまってただでさえあいつはじじいの半分ぐらいしかないのに大丈夫なのかと心配になったが、俺に食べてほしいと笑ってくれるから嬉しくてたくさん食べた。
全部食べるとあいつが喜んでくれた。
ちゃんといただきますやごちそうさま、おはよう、おやすみが言えるとよく言えたと頭を撫でて誉めてくれる。
寝るときは抱き締めて眠ってくれる。