第22章 デート
『えっと…』
残された恋歌と女性。
「まずは自己紹介ね
私はニーナよ、よろしくね」
『あ、私は恋歌です
よろしくお願いします』
ニ「そんなに畏まらなくていいわ
あまり歳も変わらないだろうし」
『はい…』
ニ「さ、時間があまりないからさっさと済ませるわよ」
『何を?』
ニ「いいからここ座って」
ニーナに無理矢理座らされたのは三面鏡の前。
ニ「私は貴女を綺麗にするために呼ばれたの
元がいいからあんまりいじるのはやめておくけど」
櫛を取り出したニーナは恋歌の髪をとかし始めた。
ニ「はじめてのデートなんでしょ?
だったら綺麗にしていかないとね」
楽しそうに笑うニーナ。
『デートっていっても、その、一緒に行ってくれるかどうか…』
ニ「じゃあ断れないぐらい綺麗にしていけばいいのよ」
ここからニーナの技術により恋歌を女の子に変えていった。
ニ「さ、できた」
『こ、こんなことされたの、始めて…』
鏡に映った恋歌は薄く化粧をされていて、髪は巻かれ首の後ろでふたつに分けられ前に流されている。
ニ「とっても綺麗よ
これなら恋歌の彼氏もびっくりするわ」
『変じゃない?』
ニ「私の技術を信じなさい
さ、祭に行くんでしょ?行っておいで」
『うん!ありがとう行ってきます!』
ぱたぱたと出ていく恋歌を優しい眼差しで見送るニーナ。
サボ「悪かったな
急に頼んで」
ニ「いいのよ別に
あれだけ綺麗な子だったらやりがいもあったしね」
サボ「そっか」
ニ「あんたもあの子のこと好きなんでしょ?」
サボ「…何でわかった?」
ニ「女の勘は恐ろしいのよ」
サボ「覚えておくよ
確かに一人の女としても好きだ
でも何よりあの人が幸せならそれでいいんだ
親孝行ってやつかな」
ニ「親孝行?何言ってんの?」
サボ「はは、俺たち家族だけの秘密だな」