第5章 フーシャ村へ買い物
エ「これ、あんたが?」
これとは目の前にある急に現れた壁のこと。
『そうだよ
約束したでしょう?
あなたには指一本触れささないって』
エースに向ける眼差しは優しいが、そのあとに男たちに向けた視線は優しさの欠片も残っていなかった。
エ「(怒ってる?)」
エースは本能的にヤバいと感じた。
その怒りが自分に向いていないことにもほっとした。
「な、何なんだよ、お前!!」
『何って私はこの子の母親ですけど?』
何でもないことのように返す。
しかし男が聞きたいことがそんなことではないことぐらい百も承知だ。
「誰がんなこと聞いたんだよ!
お前が何者なのかって聞いてんだ!」
『さぁ?
何者なのでしょうね?
あなたたちに言ったところで何の特にもなりませんし、あなたたちほどの低脳そうな頭では理解できる範囲を越えますので無駄な労力を使うのは遠慮させていただきます』
全てを嫌味で返す。
しかも無表情から満面の笑みになっている。
普通なら見惚れてしまうほどの綺麗な笑みだが、この状況では見惚れていることはできない。
絶対零度の笑みという表現が一番正しい。
エースはそれを見てしまい背筋が寒くなった。
『それにあなたたちはこんな小さな子どもがちょっとぶつかったぐらいで大人気ない
謝罪の言葉も言いました
しかもあんな人通りの多いところで私たちが無理やりここに着いてこざるを得ないような状況を作り出し、私を襲おうとした
そして私が一番許せないのはエースに手を出そうとしたことです』
その言葉を最後に目にも止まらぬ早さで最初にぶつかった男以外の四人を蹴り飛ばした。
四人とも壁に激突し、気を失った。