第5章 フーシャ村へ買い物
エ「約束?」
『そう、約束
今日エースは私に遠慮しないで何でも欲しいものがあれば私に言うこと
おもちゃでも服でも本だってなんだっていい
興味を引かれたりこれは欲しいって思うものがあれば私に言って?
約束できるかな?』
普通の二歳児であればこんなことを言わなくても欲しいものがあれば駄々をこねたりするものだ。
だがエースは絶対に自分の意見を言わないだろう。
何故こんな子どもらしくない子どもになってしまったのかはわからない。
我が儘を言わないいい子であると言われればそれまでだがこれは何か違う気がする。
だからせめて自分の前でだけは我が儘を言って欲しいと恋歌は思う。
これでも母親をこの世界の神様に任されたのだから。
エ「いや、俺は欲しいものないし…」
『残念だなぁ…
エースが欲しいものとか素直に言ってくれれば明日私の不思議な力もっと見せてあげようかと思ったのになぁ』
そう言えばピクリと動く肩。
それを見てもう一押しかなと心の中で意地悪な笑みを浮かべる。
『ほんと残念
最近忙しいから明日を逃すと暫く力をゆっくりエースに見せてあげれないのよねぇ
いつになるのかな…』
最近忙しいなんてのは勿論嘘だ。
三日前にこの世界に来て忙しい訳がない。
しかしそんなことをエースは知るよしもない。
エ「今日俺が…その…
欲しいものとか素直に言えば明日俺に不思議な力いっぱい見せてくれるのか?」
『約束するよ
明日はいっぱい不思議な力で遊ぼ』
恋歌もエースと遊びたいという理由があるのだがエースの今一番興味を引く話題は恋歌の力のことだ。
しかもその力で遊んでくれるとなれば…
エ「わかった」
エースには頷くという選択肢しか残されなくなる。
その返事に満足して微笑みながらエースの頭を撫でてやった。