第12章 未来の海賊王との出会い
シャンクスたちと別れたあと、恋歌は人魚の姿のまま人気のない入江に来ていた。
トランス能力は集中力が必要でいつもなら問題なくトランスできるのだが、今は心が不安定なため元の姿に戻ることができないでいた。
『大切な人が傷つくのを知っていて見知らぬふりは止めようと、見たくないから変えようと、そう決めたのに…
ダメだなぁ…私…
結局、何も変わらなかった…変えられなかった…
いくらあの腕を治すことができても、感じてしまった痛みまではとってあげられないのに…』
砂浜に上がり人魚の姿のまま寝転がる。
そしてまた涙が溢れてきて横に流れていく。
そのままじっと空を見上げていると、後ろから見知った気配が近付いてくるのがわかった。
誰だかわかったので動かないでいたが、正直今は来てほしくない。
だが、そんな願いは叶わず気配の主は恋歌の横に座る。
『怪我人がこんなところで何をしてるんですか?』
シ「なぁに、俺はこれぐらいじゃ死なないさ」
気配の主はシャンクスで、今一番会いたくない人物だった。
『死ななくてもじっとしてないとダメです』
シ「俺がじっとできると思ってるのか?」
恋歌は溜め息をついて起き上がる。
シャンクスはいつも通りの黒いマントを着ていたため、腕の怪我は確認することはできなかった。