第12章 藤の家
「炭治郎!」
座敷には、弟弟子・竈門炭治郎の姿があった。ひささんの言っていた鬼殺隊員の一人は炭治郎だった。
「陽華さん!」
炭治郎は嬉しそうに陽華に挨拶した。炭治郎は他に隊士二人と、この藤の家を訪れていた。
「なぁなぁ、炭治郎、この綺麗な人、誰??」
炭治郎のとなりにいた黄色い髪の少年が、炭治郎の浴衣の袖をちょいちょいっと引っ張った。
「この人は氷渡陽華さん。俺の姉弟子で恩人なんだ。陽華さん、こっちは同期の我妻善逸と嘴平伊之助です。」
と、炭治郎は丁寧に説明した。その説明に「宜しくね。」と陽華は言った後、謙遜するようにこう言った。
「…恩人てほどじゃないけどね。」
「いえ!俺はっ…、」
力説しようとする炭治郎の肩を黄色い髪の少年、我妻善逸が掴んだ。
「おい、炭治郎。」
善逸は力づくで炭治郎を自分の方に向けると、その襟を掴んだ。
「姉弟子だと?じゃ、こんな綺麗な人と一緒にアハハのウフフで修行したのか?修行とは名ばかりの、楽園じゃねーか!俺なんか男しかいなかったんだぞ!?しかもすげー、感じの悪いヤツだったんだからな!!禰豆子ちゃんといい、炭治郎だけ、可愛い子ちゃんばかりでずるいじゃねーか!」
善逸の目が血走り、炭治郎に詰め寄る。炭治郎は慌てて、否定した。
「善逸、落ち着け!陽華さんとは修行期間は、被ってないんだ。」
炭治郎が善逸を宥めるように言うと、突然陽華が笑い声を上げた。
「あはは、面白い子ね。」