第11章 風柱
「弟って、唯一に生き残ったっていう子?」
陽華の問いかけに、実弥が静かに頷いた。長い付き合いの中、実弥の経緯はなんとなく聞いていた。
「心配なの?」
陽華の言葉に、実弥はカァーっと目を見開いて、睨み付けてきた。
「そんなんじゃねェ!あいつはもう、俺の弟じゃねェんだ!あいつが何処での垂れ死のうと、知ったことじゃねぇんだよォ!!」
そう言って、焚き火に枯れ木を投げつけた。長年の付き合いから感じ取れる、素直じゃない言葉に、陽華は呆れて、ため息をついた。
「じゃ、何にイラついてんのよ。」
「………。」
実弥はずっと黙っていたが、暫くすると静かに口を開いた。
「……あいつ今、悲鳴嶼さんのとこにいんだよ。」
「よかったじゃない。行冥さんなら、安心だよ。…継子ってこと?」
「…いや、継子じゃねェ。悲鳴嶼さんがさァ、頼んでもねェのに、教えてくれんだよな…あいつのこと。」
そう言ってまた、枯れ木を焚き火に投げ入れた。パチッと火の粉が飛び散った。