第11章 風柱
その後、二人は何もしゃべらず、じっと焚き火を見つめていたが、陽華がチラッと実弥の方を見た。
「…実弥。今日、あった時から聞こうと思ってたんだけど、何かあった?」
「あァ?」
実弥が陽華を見返した。
「なんか、考えてる時間が多いし…。ちょっと、機嫌悪いよね?」
「おまえにじゃねェから、安心しろォ。」
そう言って、焚き火に目を戻した。
実弥と陽華は同じときに柱に上がり、その前から階級も同じように推移していた為、任務が一緒になることが多かった。幼馴染みで同期の義勇よりも一緒に仕事をすることが多かった。
たくさんの隊員が亡くなっていく中、二人で力を合わせ鬼を狩って、生き残ったことも何度かあった。いわば盟友だった。
その盟友の異変に気づかないわけがない。
陽華の視線を肌で感じ、実弥はフーッと息を吐くと、
「弟が鬼殺隊に入った。」
と、静かにしゃべりだした。