第11章 風柱
暫く歩くと、川が見えてきた。実弥と陽華は河辺の開けた場所で、火を焚いた。
陽華は、持ち歩いてる竹筒に川の水を補充し、焚き火の側にいる実弥の横に座り込んだ。そして、竹筒の水を二口ほど飲むと、その竹筒を実弥に渡した。
渡された実弥は、手の中の竹筒を一瞬みつめた。
「飲まないの?」
「…飲む。」
実弥は上を向くと、高い位置から竹筒を傾け、中の水を口の中に落とし、ごくごくと飲み込んだ。
「…ケッペキ?」
「違う!!」
そう言って、竹筒を陽華に戻した。
(気にしてんの、俺だけじゃねェか。)
イライラしながら、唇の端から漏れた水を手で拭った。