第10章 最終選別
次の日、二人の日輪刀が届いた。
義勇が刀を抜くと刀身は、澄み切った水面のように深い青色を放ち、陽華の刀身は純度の高い氷のように、澄んだ青白磁色変わった。
その後、支給された隊服に袖を通した義勇からは、あどけない少年の面影は消えていた。良く泣いて、可愛い笑顔の義勇は、もういない。
そこにいるのは、鬼への怒りを、静かにその胸に秘めた鬼殺隊員の姿だった。
そして、二羽の鎹鴉が二人に初任務を告げ、鱗滝の家を旅立つ朝、陽華は義勇にあるものを手渡した。
「…義勇、これ頼まれてたやつ。」
陽華の手には、綺麗に畳まれた羽織が乗せられていた。
義勇は「ありがとう」と受け取ると、羽織を広げた。半分ずつで生地の違う奇妙な羽織。
「言われた通り、義勇のお姉さんの形見の着物と錆兎の着物で作ったよ。」
「ありがとう。これで二人の想いを背負って戦える。」
義勇は陽華に礼を伝えると、羽織に手を通した。気が引き締まる想いだった。
しかしそれは、義勇が背負うべき罪の証。
義勇は羽織の裾を強く握ると、何かを誓うように、静かに目を閉じた。