第10章 最終選別
義勇の食事を運んだ後、陽華は外に出た。外では、鱗滝が薪割りをしていた。
「師匠、義勇は大丈夫でしょうか?」
鱗滝は肩に掛けた手拭いを掴み、お面をずらすと、顔の汗を拭った。そしてお面を戻すと、小屋に方に顔を向けた。
「義勇は優しい子だからな。自分を責める傾向がある。今は自責の念に苛まれているのだろう。」
そう言って、鱗滝は陽華の方に顔を向けた。
「おまえは大丈夫か?」
「だ、大丈夫です!今は義勇の方が心配で…。」
そう言って陽華は、鱗滝に苦笑いを向けた。鱗滝は陽華に近づくと、優しく頭を撫でた。
「わしは、おまえも心配だ。堪えなくていい。泣きたい時は泣いていいんだぞ。」
その優しい言葉に陽華の瞳から、涙が溢れた。
きっと自分が泣いているのを知られたら、義勇を不安にさせてしまう。そう思い、陽華が嗚咽を我慢していると、気を使った鱗滝が、静かに自分の懐に陽華を抱き寄せた。
そのまま陽華は鱗滝の胸に顔を押し付けて、静かに泣いた。