第10章 最終選別
その初々しい姿に、陽華はまるで弟でも出来たような気分だった。
「そっか。もう立派な鬼殺隊員だね。隊服もすごく似合ってるよ。」
陽華が微笑みながら言うと、炭治郎は顔を真っ赤に上気させた。
「でも、まだ全然慣れなくて…いつも着物だったから、こんな首まで隠れるのを着たの初めてで…、」
恥ずかしそうにしどろもどろで答える炭治郎に、陽華は自分も初めて隊服に袖を通した時の経験を思い出していた。
「確かに、私も最初の頃は苦しかったなぁ。」
「でも、この隊服を着ると粛然とした気持ちになります。…陽華さんも初めて着た時は、身が引き締まりましたか?」
「あぁ…うん。初めて…ね…。」
「冨岡さんとも同期なんですよね。冨岡さんは、小さい頃からすでに顔が整ってそうだから、最初からめちゃくちゃ似合ってたんだろうな。」
そう無邪気に言う炭治郎に、陽華は義勇のことを聞かせてやった。
「すっごい、仏頂面だったけどね。こんな感じの…。」
陽華が義勇の顔真似をすると、炭治郎は楽しそうに笑った。
そんな炭治郎の顔を見ながら、陽華は初めて隊服に袖を通した時のことを思い出していた。
思えばあの時から、義勇は変わった。