第10章 最終選別
情報収集の為に立ち寄った街で、陽華は知った顔を見付けて、急いで引き留めた。
「炭治郎!?ひさしぶりー!」
そこには、陽華の弟弟子の竈門炭治郎が真新しい隊服に身を包んで立っていた。
「陽華さん、お久しぶりです!」
炭治郎とは狭霧山以来だから、およそ一年ぶりになる。しばらくの間は二人は、笑顔で再会を喜びあった。
炭治郎は少しだけ、背も伸びて、幼かった顔立ちも、精悍な顔立ちへと変化しつつあり、陽華はその成長ぶりに目を細めた。任務の途中だと言うことも忘れて、炭治郎を祝うべく、近くの喫茶店へと誘う。
「鬼殺隊入隊、おめでとう!」
任務中と言うこともあり、二人はお茶とジュースで乾杯した。炭治郎は「ありがとうございます。」と、照れながらお礼を言った。
炭治郎は初任務を終えたばかりで、次の任務に向かう途中だと言う。
「鱗滝さん、喜んでたでしょ?」
炭治郎の鬼殺隊入隊は、鱗滝の定期便や炭治郎からの手紙で知らされてはいたが、実際鬼殺隊員として会うのは、初めてだった。
「はい。選別から帰ったら、泣きながら抱き締めてくれました。」
鱗滝の心情を察すると、涙が出て来そうになり、陽華は思わず目頭を抑えた。
炭治郎はその後も、初めての任務や、禰豆子に起こった変化などを、嬉しそうに語り、陽華は微笑ましさに顔を緩めた。