第9章 ※誘惑
深い口づけの後、義勇の唇が陽華の胸元へと近づいた。はだけた浴衣から零れ出る谷間に顔を埋めると、小さな声で言った。
「この…匂い…、」
「あっ、石けんを使ったから。」
「さっき、おまえの後ろに立った時、これが漂ってきて…気が狂いそうになった。」
そう言うと義勇は突然、上体を起こした。そして冷たい表情で陽華を見下ろすと、静かに言った。
「もう二度と使うな。」
「は、はい!(あれ?何か怒ってる?)」
義勇はムスッとした顔で、陽華の浴衣の帯をしゅるしゅると外しながら思った。
(たくっ!他の男を誘惑したら、どうするんだ。)
やがて帯が外れると、身を包んだ浴衣がふわっとずれて、陽華の肢体が露わになった。細いが鍛えぬかれ、引き締まった筋肉に、不釣り合いなほどに大きく育った柔らかな果実。
それらが行灯の揺めきに照らされて、艶かしく映り、義勇は思わず息を飲んだ。
「あの…そんなに見ないで欲しいんだけど…。」
「すまない、少し見とれていた。」
「みとれ…って、ひゃあ!」
突然、胸を鷲掴みにされ、思わず声を上げた。